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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
帰り花……——カミング、ノベンバー
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大丈夫だいじょぶだったよん☆」


 玄関のドアが開いて、幸子さちこが少し疲れて、キラキラしながら帰ってきた。


「おかえり」


 アタシはくるくると真っ白なシチューの入ったお鍋を、シリコンお玉でかき回していた。


 森みたいにたくさん入れたブロッコリーと、大きめに切った人参にんじん色が、浮かんでは白に吸い込まれていく。


「いー匂い!☆手、洗ってくるね!!」


「はいはい」


「あっシュウジ君おかえりー☆☆☆」


 くすぐったいような夕方の風景が、冬の気温に重なっていく。そろそろ暖房いれたほうがいいのかな……


あね、ただいま」


「おかえり、パン何個食べる?」


「六個!!!」


「はいはい」


 最近シュウジの身長が伸びてる気がする。


 柱に付けた身長記録ホログラムは、シュウジとアタシの背が、母に近づいていることを意味していた。


 気まぐれで測った幸子さちこのしるしは、アタシより少し高いけど、同じ色でふわふわ浮かんでいる。


「最近、スムーズだよね、搭乗とうじょう


 アタシはスープ皿を並べながら、ほっこりした気持ちでつぶやいた。


「まぁね〜、でもこういう時こそさ、しっかり見ないとさ」


「見るって何を?」


「自分のコト。ま、ミカは頑張ってると思うけどさ」


「何目線よ……まぁ、ありがと」


 毎日同じ時間に寝て、確かに最近のアタシは元気だ。


 壁のホログラムが、明日もきっと少しだけ幸子さちこに近づく気がした。

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