表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
その星は、アトラス……——ポートレート・カフェ
715/742

671

「そうです」


 理由はわからないけど、知っていてくれたことが嬉しかった。


 灰色が好きな自分を、雪子せつこさんに隠さなくていいことに。


 でも、なんで好きかを話すには、まだ勇気が足りなかった。そこに笑顔がるのに。 


 ……代わりにアタシは雪子せつこさんに貰ったピンキーリングに触れる。


雪子せつこさん、サブローは寂しいって思ったりとか、するんですかね」


 少し、驚いたような顔をして、雪子せつこさんは真っ白なキャンディをひと粒手に取った。


 ルビーのように光輝く雪子せつこさんに、なぜか似合うその白は、雪もやにかけられたみたいに、コーヒーの湯気の向こうに消える。


「別に、寂しくないんじゃない?」


「え……」


「私は、大丈夫だと思うわよ?」


 力強い笑顔を信じてしまいたくなる。


 それが優しさだったとしても。


三島みしま君がこたえてくれないこと、った?」


 ……った。いや、い。


 無い、無いんだよ……——けむに巻くようなことはっても、サブローがこたえないというのは見たことがなかった。


 サブローは、来たい時にウチに来て、楽しいんだと思っていた。


 でもサブローが家族のこと……とりわけ、兄弟のことを話さないようにしてたことを、アタシは気づいていたこと……今分かってしまった。


「ミカちゃん!私のせいで……こういうとこ私……」


雪子せつこさん、それ、幸子さちこも思ってないです!」


 誰かがいないとわからないこと……


雪子せつこさんのおかげ……です」


 灰色のキャンディをアタシは手に取った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ