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「えぇと……その……」
雪子さんの笑顔に、言葉が詰まる。
そういえば、二人きりで話したのは、ホログラム通話以外では久しぶりだ。
アタシは目をうろうろさせて、テーブルの上のキラキラした飴玉たちを見る。
「何というか……」
アタシは思っていたことを伝える。
「雪子さん、あの……アタシサブローに……サブローに甘えてたっていうか……あれ?違う。これを言いたいわけじゃなくて……」
スカートが、急に恥ずかしくなる。
アタシは、言葉をうまく伝えられない……そもそも、こんな話をする意味があるのだろうか……サブローが皆んなに言わないことは、意味を成さないことなのかもしれないとも思う。
「だめなの?」
「え……」
「甘えちゃダメなの??」
「ダメっていうか……」
そう言われると、わからなくなる。初めから何も、わかってはいないけれど……それでも、いつかわかると小松さんに言ってもらえたこと、いろんな直感を、アタシは信じないことができない。
「いろいろわからないんですけど……でも知りたくて……サブローに、話を聞いてみてもいいのでしょうか……」
「それって、相談するかの相談ってこと?」
雪子さんは、幸子や由子さんを見るような目で、アタシをみている……
「そうなりますかね……」
「ミカちゃんって、本当はシルバーじゃなくて、灰色が一番好きでしょ?」




