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紅茶風味のクッキーが、夕陽色のココロに染みていく。
「おいしー☆☆☆」
女子会のお菓子は光の速さで消えていく。
遠慮なんて無いのが心落ちつく。
アタシはお洒落してきたことも忘れて、クッキーの風味と、雪子さんと幸子の笑顔ばかり見てしまっていた。
雪子さんの淹れてくれたコーヒーは、ほんの少しスパイシーで、なぜかまろやかだった。
「ミカちゃん、お代わりする?」
「はい!いただきます!」
ウフフ……と微笑んで、雪子さんがキッチンへ席を立つ。
ふわりとローズ風味の香りがした。
「ねーミカー!!!……別にいいんだからね……お姉は別に……私だけのお姉ってわけじゃ……ナイし……ごにょもにょ……」
幸子の視線が宙を泳ぐ。
……お休みに、誘ってほしかっただけじゃなくて……幸子は思ってるよりお姉ちゃん子なのかもしれない。それが可愛いような、なんて言ったらいいのかわからなくて、アタシは微笑んでみせた。
「フンッ」
「ちょっと!一人で食べないでよっ」
「まだあるジャン☆☆☆並べよ?ミカ☆えっ!ねえマシュマロもある!!」
幸子が食器棚からふわふわのマシュマロが入った袋を出して来た!
「やったね!並べよっ!!」
コーヒーを含ませたマシュマロっておいしいんだよね!




