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「ミーカーァァァア!!!!」
「ぎょっ!幸子……」
なんか、デジャヴ……
木造風アパートの白い扉を開けると、そこに居たのは雪子さんじゃなく、幸子だった。
レトロ喫茶風のステンドグラスの天窓に(ウチと同じつくりの筈なのに、どういう風にやってるんだろう…綺麗)
アタシはいらいら腕を組む幸子が好きになってきて、咳払いをしてワンピースの裾を気にした。
「なんでお洒落なんかしてんのっ??同じアパートなのにっっ」
そういう幸子の服も、今日はなんだかお洒落。秋色のボレロがふんわり可愛かった。
「幸子がオフって知らなかったんだもん」
アタシのワンピースも可愛く見えてるといいけど、幸子はぷりぷり怒ってる。
「ミカちゃん、いらっしゃい。アラ♤可愛いわね!」
よしッ、やった!!!
「お、お邪魔します……」
小さいけれど、レースの暖簾がかかった可愛らしいキッチン。
優しい木の引き戸の向こうに、レトロな四畳半のカフェテーブルに、秋桜が飾られていた。
もー!!と言いながら、幸子が出してくれたもふもふのスリッパを履いて、する、……とカフェスツールに座る。
「幸子ー!ミカちゃんにクッキー出してあげてー」
「分かってるってー!!」
紅茶の香りのするクッキーを、幸子と一緒にお菓子椀に綺麗に並べる。
幸子は、いつの間にか楽しそうに笑っていた。




