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「ウサ太郎もマックス」
「どういうこと???」
「ポメ吉も」
「なっ……」
アタシはベンチから落下したブランケットを拾って、気持ちを落ちつけるためにゆっくりと落ち葉を払った。
銀糸で花の刺繍がされた、ベージュのブランケット。
幸子はお揃いのブランケットの上で缶ミルクティーの缶をリズミカルにポコペコとワイン色の爪で鳴らしていた。
「分裂……?したんだってー☆」
「分裂……、え、幸子着替えとかさ……」
「や、まァ私は元々黒ウサギのママだし、いいんだけどさ。精神共有は無しにしてくれたの、今は繋がってないよ。それになんか、私は人のマックスは別って思ってる」
「まぁ、進化形態ってコトだもんね……逆進化は無い筈だから、ウサ太郎がマックスになることはもう無いのか。でも待って!また分裂して新たな個体を生み出すことは可能だよね?忍者じゃん……凄っ」
「ね。向いてそうだよね、HyLAのスタッフとして」
なんか不謹慎かもしれないけど、マックスはチートなんじゃないだろうか。まぁ、いいことばかりじゃないけれど。
成りたい姿になれるけれど、環境によって姿が変わるし、繋がりをもつ存在を残すことができる。それって……
「おんなじだよね……」
「ん?☆」
「いや、そーだね。向いてそう」
「ね☆」
幸子の顔が今日の空みたいだったから、アタシは笑顔を返した。
◯◯◯白炎サバイヴは、読み手の方に捧ぎ、
生み手の方に共感してもらえたら…To you,of both.
「おかえり、シュウジ」
「ただいま戻りました智恵子さん」
息子が私を智恵子さんと呼ぶのは、いつでも智恵子でいていいという優しさなのかもしれない。
「姉は……」
「まだGSB、Eighthの」
「精が出ますね」
ミカの誕生日に、幸子ちゃんとシュウジの計画で、図書室を作ってくれた。
我が娘はそれを、多いに暮らしに活かしてるのが私は誇らしい。
「また……観るの?」
「うん、母も観ようよ」
「いいよ」
シュウジが、なぜ今このアニメを観ているのかわからない。私も、なかなか素敵だと思う。けれどシュウジの日々は、きっと様々な景色に彩られて、世界がシュウジを待っている気がするからだ。
「ふっ」
「なんその不敵な笑み……」
「いや母よ、このシーンはね……」
でもそうやって語る姿や、画面を見つめる瞳は、どこか格好いいと思う。
「さ、観終わったら、ちゃんとお風呂入っちゃいなよ?」
「Ten four! 任せてみてくださいなっ」




