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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
ムーンフォール……——白炎サバイヴ
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 ロンドンの月……HyLA(ハイラ)-Eighth(エイス)の地下基地の一角に、作られた小さな私空間へや


「ミカちゃん、気をつけてね」


「ハイ!」


 アタシはふわふわのコックピットをって、本棚の間を飛び回っていた。


 家にある本が全てった。


 見知らぬ、けれどまるで、友人のような本たちも……。


「空いている場所には、好きな本を並べてね」


 ……好きな本——。


 そんなの、たくさん出会うだろう。


 この世に誰かの意思がある限り。


 ——本は人だ。


 誰かの想い、暮らし、それから……手紙。


小松こまつさん、本当にここ、アタシが使っていいんですか?」


「気に入った?」


 そして、歴史。


幸子さちこちゃんの提案なのよ」


 そして、武器ぶきだと幸子さちこは言った。


 ……アタシの新しい武器。


「お礼でもあるのよ。Eighth(エイス)のスタッフからのね」


「お礼なんて……」


 分かってる。……みんなが頑張っている。


 でもこれは世界からの期待でもある。……そう思っていいのだろうか。——幸子さちこの言葉を反芻はんすうする。


「ワープは一方通行なの、扉を発現させて、Eighthエイスのワープスポットから帰宅してね」


「わかりました」


 エリカさんや、マーガレットさんと会うかもしれない。ミシェルさんやエミリーさんや……マックスとも。


「没頭するのはいいのよ。でもずっと一人でいては駄目だめ。いいわね?」


 暗い夜空に、明るい月が浮かんでいた。



◯◯◯

「月ってロマンがあるよね」


「そうだね。でも急にどうした?」


 弟は、たまに月を見上げる。


 いつからかはわからない。


 けれど、アタシも同じ月を見上げてしまうのだ。


 良い夜を、と願いながら。

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