表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
薄明の光……——インビジブル、スパークル
689/745

648.5 手記33

 ホーリーチェリーが消失した。


 薄明はくめいの、光の向こうに。


 心のどこかでは——ほんの片隅の向こう側では、自分が乗ることを想定して作ったコックピット。


 俺は……なぜ外から見ていたのだろう……


 ——こんなにも、思いがあるのに……


 君のおかげだ、という熱い言葉が、小松こまつさんや機関の人たちから変わるがわるに届いたけれど、受け入れられない俺に、三島みしまさんは言う。


星ヶ咲(ほしがさき)一家いっかの覚悟が、最終スイッチになってくれた。でも」


 やけに生温い夜だった。


「確かに、シュウジ君とミカ君は、本当に信じられないことをしてくれたよね。智恵子ちえこさんの覚悟も。でも一家いっかの思いは、俺たち全員と同じだって思ってるんだよ」


 最近眠れない。


 深夜の月が、窓の外に白く浮かぶ。


 それは優しくて、鋭利な爪で心をとらえようとする月だ。


「君の功績は、君の思いは、間違いなく星ヶ咲(ほしがさきけ)と同じだし、君は雨沢あまさわでもあり、星ヶ咲(ほしがさき)でもあるんだろ?」


 ずいぶん会ってなかった。


 たまに訪れるシュウジの話を、ちゃんと聞けたのは最後、いつだっただろうか……


「悔しいって思ったり、申し訳ない気持ちになるより、家族に、ありがとうって思ったほうがいいと思うんだ」


 三島みしまさんが、ハイドロレイダーに乗りたかったはずだ。ブレイズレイダーにも……三島みしまさんだけじゃない。機関の人は皆、自分がすことを望んでいる。


「きっといつか、自分の武器が持てるようになると思ってるよ。きっとね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ