表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
薄明の光……——インビジブル、スパークル
686/740

646

「私、体術の授業で着替えあるから」


 最初に、ロボちゃんが席を立った。


 マックスはうなずいた気もするし、目を伏せて二杯目のコーヒーをたしなんでいる。


「ドーナツありがと」


 ロボちゃんの手が、幸子さちこに触れて、幸子さちこもその手に触れた気がしたけど、マックスが来てから、一言も発していない。


 ロボちゃんのラテグラスは空になっていたけれど。


 アフターヌーンの屋上テラスは、ポストカードに切り抜いたみたいにそれぞれ絵になっているのが……なんだか寂しい気がした。


 幸子さちこが、何も言わずにただ風にツインテールを任せているのが、ただ、遠い綺麗な景色に思える。


「アタシも次の授業、行くね」


「うん」


 マックスが返事をした。


 幸子さちこは次の時間は空き時間のはずだ。マックスの予定は分からないけれど。


「ドーナツありがとね」


 幸子さちこはこっちを見る代わりに、アタシの手のひらに、何かを握らせた。


くさり……?)


 ……違う、カギだ。


 銀色の、小さなカギのネックレス。


「……くれるの?」


 幸子さちこがカフェラテに手を伸ばしかける……


「あ……い、行くね!アタシっごちそーさま!!」


 後ろを振り返えらずに走り……エレベーターホールでメッセージを打つ。


 ——幸子さちこ、今日一緒に帰ろ!


 ——カモミールドーナツおいしかった!!


 アタシに出来ることは、無いのかもしれないけれど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ