表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
薄明の光……——インビジブル、スパークル
677/745

637

 ——19時。


 気温は蒸し暑かった。


 季節外れのおでんをあっためて食べて、氷をたっぷり入れたグラスに麦茶を注いだら、パキ、……と氷が鳴った。


 ピコン、という、ニュース速報。


 アタシはおでんをよそったとんすいとお箸を流しに浸けて、からしを冷蔵庫に仕舞しまった。


「なんだろ……」


 キッチンのガラスサッシを閉めたら、多分また、クーラーが効いてくるだろう。


 グラスの水滴が手首にすべって、かえでがアタシを見上げていた。


「新型レイダー、ディストレスを迎撃……?……え……」


 それは、今まで見たことないような……アタシでも分かる、誰もがその強さに憧れるレイダーだった。


 グラスの水滴が、畳にしたたる。


「あっごめん……」


 ちゃぶ台に麦茶を置いて、座布団の上でかえでねた水滴を拭う。


 意に介さないように、かえでも画面を見つめている気がした。


 マルチトレースシステム……——そのレイダーは、これまでの全てのレイダーのアクトを繰り出した。


「綺麗……」


 不謹慎にも、そんな言葉が口をつく。


薄明はくめいの光が白炎びゃくえんとなる」


 虹と、鈍色の水素針すいそしんが輝く。


「みんなの力を、光に変えて」


 どれだけの、想いだったろうか。


「降り注げ……」


 アタシには、分からないけれど……


「こんなに……綺麗なんだ……」


 かえでの温もりが、手を温めていた。


 ——部屋がひんやりとして来ていた。


 どこかに根付いた小さなつぼみは画面の中で、空から降る光の中に溶けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ