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「やー、俺にはちょっと無理ね」
左腕のホロ・ウィップは空を切るばかりだ。
「遠心力が!左足が踏ん張れない!」
辛うじて当ててはいたが、右手のホロマカレフの威力は脆弱だった。
「あー……なんか、モヤモヤしてきたよ、宗」
楓に付けているペンダントを指輪に改良したものをマックスに渡してある筈だ。
「リイヤ、本当に無理なのか。なんでもやってきたんじゃないのか」
碧紫のバリアは、荒野に悪意を散らす。今は防げても、これでは……
「純之助、リイヤのタイミングを見ろ。今のお前ならできるだろ?」
どの口がいうのか……それでも、絞り出すしかないと思った。
「マックス、指輪はディストレスの干渉を遮断する。ルーティーンをしろ」
「好きな歌歌えっての?……分かったよ!!」
マックスは、シュウジの家でゲームをする時も、同じメロディを口ずさんだ。
「……闇はどこまでも続ク」
俺はずっと、このままかもしれない。
「「「俺の強さが敵を討つ!」」」
ただ一人、ずっと。
「「「鳴り響け!」」」
それでも光が重なる瞬間がある。
「「「「ディストレス!!!」」」」
動きが合ってくる!
「「「「ファーレン!!!」」」」
「「「「レーゲンシュテルン!!!!」」」」
もやのような闇の中にも、一筋の……
——幾筋もの、
宝石みたいな、流星。
……雨。
全てを撃ち抜く、幾億の輝き!!!!




