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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
サイレントミラー……——歴史を視るモノ
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「Our friendship is over, isn't it?」


 意外だった。


 ただ、天井を見つめる瞳に、そうぎる力があることが。


「I'm alone.……初めからな」


「聞こえてるぞ!そう!!マックスもそうもNot alone!だ!えー……ディフィネトリー!?絶対だ!」


 今のは悪手だった。こんなこと言ってはならない。咎めるような玲鷗(れおん)の声に、後悔のつぶてと謝る気力の湧いてこない自分に気づく。


「あー……聞こえてるんだっけ、全員に」


「全員じゃない。今はEighth(エイス)とエリアB、保安部の中から選出されたそれぞれ4名で交代で注視している」


「保安部なんてあるんだ」


 本音が出てしまった。けれど、マックスの心の奥に触れて、出てしまった。俺自身の底にある本心が。


「出来たんだ。新しくな。始めはなかった」


「一緒にやるか!?マックス!Shall we(シャル ウィ)?」


「俺は、決められないんじゃないの?」


 玲鷗れおんは、古代で言うところの欧米で使われていた言語はまったく知らなかったはずだ。マックスと知り合うまでは。


「今はな。お前はHyLA(ハイラ)の保護下にある。でもいずれ変わるはずだ。……正規の手続きを経て、三島みしまさんも見ている」


「あの人倒れんじゃないの?働き過ぎで」


 それでも、マックスは俺より強いのかもしれなかった。


「かもな」


「聞こえてるよっマックス君、宗一郎そういちろう君!大丈夫だって!」


 逡巡しゅんじゅんなく言える人間と、そうでない自分。


「ごめん、二人とも疲れただろ?今日のところの調査は充分だから、切り上げて休んでほしい」


「わかりました」


 俺は誰かに、まだ終わりじゃないと言ってやることは……——出来ない。




◯◯◯

「The work is over.って何?あね


 弟が、古代の海外ドラマを熱心に見ていると思ったら、一時停止をして尋ねてきた。だったら、ランドオブアイランドの公用語か古代日本語で観ればいいのに、何のこだわりなんだろうか。


「仕事が終わったぜってことなんじゃないの?」


「へー」


「あー、The rainbow is shining over there.っ言葉好きかも」


「エッ、虹があっちで終わったよってこと??」


「違っ!!ていうか……」


 弟に解釈を話すなんて恥ずかしいな!?


「あーほら、アンタ虹好きじゃん?虹が綺麗だよってことよ!」


「ふーん。ま、いい意味もあるよね」


 ……なんかシャクに触るけど、そうかもしれないって思ってしまった。なんでも、そうなのかもしれない。


「ゲームオーバーのoverって思っちゃったからさ」


「アンタ、ゲームオーバー嫌いだもんね」


「まぁね。でも今宵こよいはNot overデスヨ」


「あと何話観るつもり??……ほどほどにしなさいよね」

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