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「覚えて……ない。今の自分が……今の自分になった過程なんて」
そうかもしれない。僕だって、なんで僕が僕なのかなんて知らない!!!
「どこか痛む!?」
だんだんとマックス君の腕が冷たくなっている気がして、背筋が冷たくなってくる……もうどうにも出来ないんじゃないかなんて、思いたくない!
「痛み……だらけだ」
「分かるよって言ってあげられなくてごめん!!!」
僕だって痛い!!でも……マックス君の痛みの始まりも終わりも、僕にはわからない!!
「でも僕は楽しかったよ!!!」
仲間として出会えたこと……
「他のみんなもそうだよ!絶対に!!」
絶対なんかない。でもここに居る誰も否定してない!!!
「マックス、融合箇所を分断する。皆んなの……手を離すなよ!!」
宗ちゃんの声に、マックス君の手に一瞬力が込められた。
探索ドローンから、光線が光る。
……雲間の、日差しのような——。
「うわっ!!!」
折り重なるように、誰かの重みを感じる。
「大丈夫か皆んな!!!」
「大丈夫です!!!」
かどうかは分からなかったけど、そう言って身体を起こした。
サブローさんの腕の中で毛布に包まれたマックス君は、力を振り絞るように隙間から後ろを指差していた。
「避けろ……」
「シュウジ!!!」
姉の声が……悲鳴みたいに——
……——聴こえた。




