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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
灼熱……——深海のイミテーションブルー
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「ポメラニアンだ……」


 リイヤ君が隣にしゃがんで、グーにした手を差し出した。


「ちょっ!シュウジ!リイヤ!!!噛まれるよ!!!」


 ぼろぼろのモップみたいになってしまっている小さい犬(このこ)は、すごく哀しい目に遭ったのかもしれない。


「リイヤ君、犬(くわ)しいよね、……どうすれば安心してくれるのかな……」


「いや、俺チワワしか飼ったこといんだよね……チワワはチワワという生き物なんさ」


 そう言いながらも、リイヤ君は黒いポメラニアンと距離を縮めつつあった。


「ごめんごめん、ごめんて。ほーら、大丈夫だって」


 この子は、何かを怖がっているように見えた。


 憎悪……恐怖……あらゆる負の感情をぶつけるように唸り、光の見えない真っ黒な瞳で僕たちを見つめている。


「ライさん、どうしますかね……これで急ぐ必要はなくなった」


「待って、サブローさん」


 かせが外れて、心まで解放されたように静かだった。


「この子って、かえでと同じような感じ……ですか?……だったら……」


「まぁ、調査というか……検査はするべきだね」


「うわっっこできたで!!!」 


 あ、さすが、リイヤ君わんこ抱っこうまい。


「つ、連れてくっていうの!?」


あね……はさ、もし一旦帰ったとして、後日また来てマックス君を助けるとか出来ると思う?」


 僕の勘は結構外れることがある。


「……思わない。勘でしかないけど、今日なら連れ戻せる気がする」


 ライさんが、リイヤ君に何かを放り投げた。


「ハーネスを付けろ、キュロス。俺とお前、それからその犬っころはトリオシステムで進む。どのみち退路はワープによる離脱しかねぇ。進めるだけ進む」

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