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「シュウジ君、これ、宗一郎君から」
「わぉっ!ホロ・トラジェクトリーベレッタだっ!!!」
姉も好きな、古代のスパイ映画のオマージュモデルの銃。
弾道にパワーがあってかっこいいんだよね……
……水素針を出せない僕を気遣ってくれたんだと思うと、ちょっとウルっとする。
「それと、みんなこの空飛ぶスニーカー改に履き替えてほしい……シュウジ君は……履いてるね」
「あっハイ、小松さんが送ってくれたんで」
「うん。改は水の上も飛べるようになっている……筈だ」
「こんな紐が付いてたら溺れるからな。付いてなくても泳げないが……」
「ジュン君!かっこいいよ!!!」
危険があったら、離脱……。
ジュン君は迷いなく僕を連れて離脱するだろう。
でもそれは、HyLAという組織の危険を意味する。
「シューズの操作は基本的にicomだ。転びそうになったらバディで支え合ってほしい」
「シュウジ、頼んだぞ」
「わかった!」
「先頭は僕とミカ君。殿はライさんとリイヤ君だ」
「関野艦長、俺のことよく知らないっすよね……」
確かに……ライさんって仕事一筋!!って感じで、少しでもふざけたら叱られそうっていうか……いや、ふざけないけどさ。僕が変わってあげてもいいけど、実華かジュン君とじゃなきゃ僕は離脱できないわけでして……
「リイヤ・キュロス、モンテレイサイエンスアカデミックハイスクール入試主席。HylubGNI検査では、雨沢を抜いて一位だろうが。ライでいい」
「えっなんで知って……」
「宗ちゃん案外一般常識とかけ離れてるとこあるからね……」
ちょっと姉っ!!!
「目標はマックス君の保護。それから蔓の殲滅だ。みんな、いいね?」
「「「「はい!」」」」
いつの間にか、皆んなの手にはそれぞれの剣が輝いていた。




