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「ビンゴだ、シュウジ」
通信機から、宗ちゃんの楽しげな声が入って、僕もやっとニヤっと笑うことが出来た。
「僕ってさ、これ以上移動しないほうがいいってことだよね」
「そうだ」
ピンチの時に一緒に笑ってくれる兄がいる。それだけで気分が落ちついてくる。姉は……不謹慎だと動揺するかもしれないけれど。
「宗ちゃん!?」
どうすればいいかが分かって、かえって覚悟がつく。
「でも僕は今レイダーを動かせないから、ジュン君と実華に動かしてもらって、これの外し方と正体をマックス君に訊くしかないよ」
「了」
「待っ!!!」
「遠隔解析システムは既に稼働している。遠隔手術の技術だ。わかるだろシュウジ」
「うん」
「ちょっと待ってよ!もし……もし得たいの知れないやつがいたら……帰ってこれなかったらどうするの!」
「姉とジュン君は離脱で戻れる」
「そんなこと出来るわけ……!」
「シュウジ君も離脱だ。例えFirstの情報が全て漏れたり、奪われることになってもね」
「わかりました」
「ミカ君、シュウジ君に触れた状態で離脱を押せば一緒に戻れる。いいね?」
「ミカっ☆私も行くから!!!」
「幸子さんはライブの準備をしてほしい」
「シュウジ君何言っ……」
良くない可能性の言葉を、宗ちゃんが繋いでくれる。
「コランダム改の情報はまだ何も漏れていない可能性が高い。最新の情報を奪われたらどうなるか、わかってほしい」
「だ……駄目だって決めつけないでよね、幸子」
姉は覚悟は揺らいでいるかもしれない。それでも……
「プロでしょ、幸子。DVD買うから、最高の舞台にしてきてよね!」




