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海岸線が、轟音と共に地底に飲み込まれていく……——!!!
「ハイドロレイダー!!!退避だ!!!」
「でも!!!」
「シュウジ、戻ろう……アタシだって助けられるなら助けたいけど……」
マックス君は、蔓に絡めとられるように、海に引きずりこまれたように見えた。
「シュウジ、この穴は閉じるぞ、エリア小笠原と同じように」
「わかってるよジュン君、……僕、この手だし……でも……」
砂が現れた渦に飲み込まれていく……
波も、猛る畝りも、全てが何も無かったかのように、凪いだ海へと還るだろう。でも……
「決着つけなくちゃ。いつまでも考えてたくないし」
コランダムが渦へと歩いていく。
「やめて!幸子!!!!」
「私がいかなきゃ。あれは、やっぱりマックスなんだと思うんだ」
AIdだと——マックス君は最後にそう言った気がした。
環境が……AIdをウサギの姿にもし、人の形を与えたのだろうか……。
「待って、幸子さん。明日からまたライブだよね」
マックス君と演る筈だった夏の舞台。マックス君は楽しみじゃなかったんだろうか……
「そ……うだけど……」
「サブローさん、手枷って……HyLAに持ち込んでいい《《モノ》》なんですか?」
姉が目を見開いて……感知イヤリングに触れた。
「黒い枷もAIdなんじゃない?実華」




