600
「うぎゃっ」
見慣れた景色の角度が違って見えた。
「ちょっサブロー!!!なんでシュウジがアタシのコックピットに!?同じ機体のパイロット同士なら、同じワープシートでワープ出来るんじゃなかったの!?」
姉が背中の上で体勢を整えようともがいている。久しぶりの姉の背中は、以前より軽いように思った。
「同じワープシートだと、同じコックピット内にワープする仕様です」
「それっもうちょっとなんとかなんないの!?うわっ」
「姉っ!」
姉が姉のコックピットから滑り落ちた。コックピットルームは亜空間内だから痛みはない筈だけど……枷に囚われた両腕は、姉を支えることが出来なかった。
「ごめん!」
「な……なんか水の中みたい……って、シュウジ、その枷何っ!?」
「外れないんだ……一旦自分のコックピットに移るね」
光る計器の合間を泳ぐみたいに、柔らかい空間を踏み締めるみたいに飛んで、先頭のコックピットの中に滑り込んだ。
慣れた感覚に、塞がった両腕がもどかしい。
「乗ってるだけでいい。俺と、ほっしーでやる」
「ジュン君、来てくれたんだ」
今頃になって、冷たい汗が溢れてくる。マックス君を、どこかで信用もしていた。けれど——
「ありがとう、ジュン君、実華」
「礼は、あれを何とかしてからだ」
——黒い、水平線に光が差した。
「何……あの蔓!!」
「マックス君!!」
鼠花火みたいな閃光が、マックス君がいる筈の浜辺を……——消した。
◯◯◯
600話めになりました!
日々、存在を感じ
感謝と嬉しさと、
今日はどんな日だったろう…と
思い巡らせています。
明日、ドキドキ出来ますように




