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「私、食べる!☆☆☆」
幸子が一番に、お茶碗を受け取り、ご飯を食べ始めた。
「焦ったり怒ったりしてる時って、いい仕事出来ないもんね☆おかーさんありがと!!」
確かに、お腹が空いていた。
「俺も、いただきマス」
サブローもモバイルを一旦全てオフして、白い、やたらにデカいご飯茶碗を受け取る。
「宗ちゃん、食べよ?」
アタシは宗ちゃんの緋色の茶碗を、宗ちゃんに渡した。
こんな時でも、お米が美味しかった。
ポテトサラダは具沢山で、きゅうりやハム、ちょうど良く甘いにんじんが、あったかいご飯に合って、おいしい。
——チン☆
マイクロ・ホログラム・オーブンが鳴って、唐揚げのいい匂いがした。
「唐揚げとお味噌汁も食べな、ミカ」
「……うん」
背中を摩られてるみたいに、じんわり緊張が解けていく。……大丈夫だよ。って、言われてるみたいに。
「失踪者……なら、二親等の親族二名以上の許可が取れれば、行動を追えますよね、三島さん」
「「そうか!」」
「——!?」
サブローと母が弾かれたように動いた。
ホログラムモニターが再び立ち上がり、母の足音で和室が揺れる。
亜空間プリンターから、一枚の書類がひらひらと降ってくる。
「ミカ!サインして!!」
「えぇっ!?」




