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「返っては来てる……」
幸子とアタシ、30分おきに交代でメッセージを入れる。
他愛の無いアイスブレイク。
そんなことを話したいわけじゃ無いのに、途切れるのが怖い。
「サブロー氏、まだ見つからないの?」
「ごめん、幸子君、まだだ……」
「そっか……」
マックスが何者なのかわからない。
それゆえ、この惑星のどの存在がマックスであると言えるのか、わからない。
「でも、これではっきりしたね。ウサ太郎とマックスは別の存在だってこと」
幸子はウサ太郎を幸子の部屋からウチに連れてきていた。
あまり、あり得ることではないらしいけど、ウサ太郎は楓とすぐに仲良くなり、幸子が遅くまでウチにいる時はウサ太郎をウチに連れてきていたし、幸子の留守の時用に、ウチにも宗ちゃんの部屋にも、ウサ太郎用の小屋を用意している。
ウサ太郎は今は小屋には入らずに、座布団の上ですやすやと眠っている。
「そう……だね」
アタシはそう言ったけど、不思議な違和感を感じていた。
「三島さん、もうプライバシーレベルをクリアにしましょう。月、コロニー、そして惑星内の全AId、全人類の行動を洗うしか無い。モヤの状況から探すのはこれ以上難しい」
HyLAと言えど、それは長い歴史の中で違法とされていることは全員が知っていた。
「待って、宗ちゃん、シュウジから連絡は返ってはきてるし、一旦落ちついたほうがいいと思う」
母は、みんなに温かいご飯を差し出した。




