表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
黒の花……——極夏のホライズン
627/747

591

「ちょっと待って!!!返って来るよほら!!!!!」


 幸子さちこの叫び声に我に返る。


「どこにいるの?トカっ、大丈夫!?……トカっ返事ないけど!……ポテサラシュウジ君の分も食べちゃうよって入れたらほらっ」


 ——少し残しておいてください。


「!!!!!!」


 ——シュウジなにやってんの!?いまどこ!?


 既読になる。


 通話は……ワンコールで切れてしまった……


 自分の鼓動が痛いくらいに鳴っているのが分かる。


「……っ」


 震える指で、モバイルに文字を打つ。


「みっちゃん?」


 ——シュウジ、あのさ、アンタの好きなキャラクターってなんだっけ?


 ——タツタマスクだぽん


 ……これは暗号だ。アタシたち姉弟きょうだいの。


「な……に……?タツタマスクって……ちょっミカ!?」


 足音にちゃぶ台が揺れた。息がうまくできない……ライティングデスクの引き出しを開けて中を引っ搔き回す。


 サインペンのふたを取る時に、手に黒い線が引かれた。


「何っ!?ミカどうしたの!?」


 ポテトサラダの横にメモ帳を置いて、アタシは必死で息を整えた。


「ツ……マス……ク……」


 サインペンがかすれる。


「ツ……スクマ……」


「みっちゃん……」


 そうちゃんの顔を見上げる。


「シュウジは……」


「アナグラム……」


 サブローの手が止まっていた。


「シュウジはマックスといる」




〇〇〇

あねあね~」

「何よ」


 夏の午後、プールから帰宅したアタシは座布団をクッションにして、シュウジの古代の漫画雑誌を楽しんでいた。


 読め読め言われると気が進まないけれど、ちょっと読み始めたらどうにも気になって、シュウジが部活の日の発売日には、もうアタシが買いに行ってやろうかと思ってしまっていなくもない。


「もしさ……あねが悪の組織につかまったとしたらさ」


「……え?————え?」


「暗号を決めておこうと思うんですよね」


「え待って。つかまりたくないし、そんな組織あると思いたくないんだけど」


「いやないよ?この平和な世界にそんな組織あったら僕も嫌だけどさ。目には目を。念には念をって言うじゃない」


 ははぁ……さてはスパイアニメか何か見たんだな……。でもアタシはやりませんけどね。


「僕が、あねが好きなキャラクターってなんだっけって聞くからさ、そしたらあねは、情報のアナグラムの中に「た」を混ぜて、たぬきぶってもらえれば大丈夫だからさ」


「たぬきぶるって何!?」


「うどんぶってもらっても大丈夫だよ。でもその場合、「た」じゃなくて、「さ」抜きね。キャラクターの名前として伝えて貰えば、ばれる可能性少なそうじゃない?」


「いやその前にうどんぶるって何さ……」


「まぁ実際はそんな日来ないってわかってるけどさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ