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バシャア!!!!!
——波に巻き込まれたみたいに、足が大量の水に掬われれる!!!
(溺れるッ!!!)
「幸子!!!」
絶対に水素針を離さない!!!
「みっちゃん!!もう大丈夫だ!」
「っえ……?」
水の勢いに流されて、どこかつるつるした床を滑っていく……——ウォータースライダーみたいに!!!
膝くらいまでの海水の流れに押し流されて、立ち上がれないけど……!
「ひゃっほう!!!」
男子たちのはしゃぐ声に、モニターの位置情報を拡大する。
「っえ……ブリリア・オブ・ノア!?」
躯体が滑るのが漸く止まりそうだ。
「……母艦のトレーニングルーム?」
見上げると、碧い空間が広がっていた。満点の星空から、海の国の夢の空みたいなブルー。躯体を反転させると、真夏の冷たいプールに浮かんでいるような心地よさだった。
「海の一部ごと、切り取って母艦に転送したのよ」
小松さんの声が、通信機から聴こえてきた。
そうか……そういう機能があったんだった……安堵と共に、急激な眠気が襲ってくる…
「ってことはみんな無事……なんですね」
「たっ……助けてぇ!!!☆☆☆」
幸子の悲鳴に、慌てて躯体を起こす!
「ちょっ!!!」
光の網に絡まった赤いマーメイド。
「その網、HyLA先行部隊円盤型の新兵器なのよね」
「はっ、跳ねないでよ幸子」
うぅ……リッパーが欲しい……と思いながら、非AIの網は切ることができないから、網解きは真夜中まで続いたのだった……




