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必死で登った。
……上へ!!!夜に差す光を目指して!!!
「きゃっ!!!」
リバティの鰭を、巨大青海亀が堕ちていくのが掠めた。
「きゃー☆☆☆」
「気をつけて幸子!!!」
振り返る余裕が無いっ!!!
けれど、信じて突き進む!!!
……皆で——……おいしいカレーをまた食べられることを信じて。
「サブロー!幸運の大亀は!?」
一番陸側に居た筈!
「大丈夫だ!HyLA《ほんぶ》が引き上げた!!!」
「リディア!」
「大丈夫、……難しいけど」
「絶対諦めないで!」
「わかった!」
「リイヤ!変形出来てる!?」
「出来てる!下視るの怖いけどなっ」
「見ないで!!!」
「オーケイ!」
光が近づいてくる……!!!
(苦し……——)
叫びたい……怖いって……——言いたい!!!
「でも……」
堕ちて行く激流より靭く……——!!!
路の先の光は消えない!!!
「——……何?」
流れが速く、光が小さくなってる!!!
「島の再生が始まってる……大丈夫、きっと間に合う」
サブモニターに、陥没箇所の3D映像が映し出される。
「ジュン……それ、みんなには言わないで……」
「わかってる」
——……離脱という言葉が過ぎる。
「失う前から、また失いそうって思うの嫌だよね……」
「そうだよ実華!」
アタシたちは何度も失ってきたけれど……
「今度こそは……さぁっ!!!」




