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赤紫の……亀!?」
ライトアップされた夜の水平線に、禍々しい程の、強大な海亀が泳いでいた……
「ほぅ……なかなか好みな禍々しさだ」
最近暑さからかウィッグを外しがちなジュンの目がキラリと光る。
「強そうだね!!!」
シュウジも然り。
どこか魔物っぽさを感じるそれは……
「——こっちに来るッ!!!」
三日月の光を反射して、魔を宿す宝石のようにキラキラ、煌めいている。
「綺麗……あのレイダー」
リディアがぽそっと言った。
それは、リディアの心からの気持ち。
……だからこそ……
「さ、最初は可愛い青海亀だったのに……でも」
悪意は感じなかった。
希望の海亀は、ガラリと色を変えて、決戦の地に戻った。
夕陽の堕ちた夜の中で、アタシにもその姿は何故か……どこか美しく見えた。
「ミッシー☆エミチー☆!!コランダムが援護するよっ☆☆☆」
幸子は迷わない。
誰よりも速く、その躯体を踊らせる。
「ミシェルさん!エミリーさん!!力溜めてください!!!」
アタシに何が出来たのかわからないけど、二人は再び戻った。……仲間として!!!
「シュウジ!ジュン!!動く隙、無くそう!!!」
亀が、身体を起こそうとしていた!
「オーケイ!!」
「応!!!」
今度こそ二人が——……輝けるように!!!




