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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
孤高のヴァイオレット……——人類のアーティチョーク
611/739

576.5 手記27

「失敗だったって言いたいんでしょう、俺に声をかけたこと」


 三島みしま三朗さぶろうは、IOP政府の残党直下の特務機関の主要人物だ……


 宇宙開発部総督、三島みしまはじめAIdエイド宇宙移植開発科学者、三島みしま仁花にかの弟——。


 父も三島みしま三朗さぶろうの存在を懸念しながら……見守っていたのかもしれない。


 若いのか知らないけれど、白いサンカットパーカーと、ダメージジーンズ。常にラフな格好で、三島みしま三朗さぶろうは俺の家に現れた。


 外さないサングラスの下に、父が懸念していた秘密を隠して。


「そうでもないよ。君の……好きな言い方で言うと、シンクロ率みたいに言うとモチベーションになるかな……コックピット内のバランスは寸分の狂いなく合致していたし、ワープアウトも問題なかった。うまくいってると思ったよ」


 体を起こす気持ちになれない。


 力が入らないんだ……


 意識とは無関係に。


 背中から三島みしま三朗さぶろうの気配がしたけれど、俺はただ壁を見つめていた。


「好きじゃないです」


 かつて熱狂したことは、何もかももやがかかったように、遠い記憶だ。


「そう?俺も好きだよ。古代のストーリーは、身に染みる。かっこいいだけじゃなくてね」


 そうだったはずだ。俺も。


 でも、そんな自分は、まるで別の存在いきもののようだ。


 俺はただ壁を見つめるだけだ。





◯◯◯

「また……観てるの……明日学校だよ!?」


「みっちゃん、男子には、夜を賭してもらなければいけないことがあるんだよ」


「いやそれ録画でしょ??」


あね、……男子には……」


「いやいや、しかも何周目???……ま、ちょっとカッコいいけどさ……」


「そうでしょう、みっちゃん!」

あねも観るっ!?」

「いやアタシは寝ます。二回くらい観たし」


あねも好きよのう」


「ハァ。ほどほどにしてちゃんと寝てよね。……おやすみ!」

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