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「……あの子たち、どうしてこんなこと……」
ブリーフィングデスクに突っ伏したエリカに、キャンディの籠を滑らせた。
「これ、サブロー君が気に入ってるやつじゃない……」
唐辛子の赤いキャンディを放り込んでも、エリカの瞳は光を失ったままだった。
「ねぇメグ、どうして、Eighthばかり……」
マックスはEighthのエースだった。私たちより、余程。
大人ができることがあった筈なのに、私たちはこうして、繰り返してしまっている。
ミシェルは、キラキラした瞳で、失敗しても前向きにやってみせた。
エミリーは控えめながら、色んなことをよく学んだ。
前向きな二人だった。
私は二人の……いや、マックスも含めて、三人の凶行を、容易に信じることが出来なかった。
欠片でもいい。
何か共通点がないか、ありとあらゆるデータから隈なく探している。
「エリカは、本当に二人が起こしたことだと思ってる?」
二人が、自分が悪いと証言していることは事実だ。
……それでも。
「思ってない。……でも原因がわからないままだわ」
サブロー君だったら、あり合わせのキャンディじゃなくて、エリカにあったかいお茶を淹れてくれたかもしれない……あの子たちと、もっと日頃、良い距離で話が出来たのかもしれない。そう気づいて、私はカルテしか見ていない自分にため息を吐いた。
「……メグ?」
エリカがマーガレットと呼んでくれるようにやっとなったところで、私は立ち止まってしまったままだ。
「……そうね。土地の磁場の流れなども調べないと……場合によっては、基地を動かさないといけないかもしれないわ」
誰の所為でもないのかもしれない。
でもそれでも……と思う。
「そうね。それに、ケアが必要よ。今のあの子たちには」




