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600メートルの通路に、総勢300本のアーチ。
その周りには、花壇や噴水が作られ、優美な景色になるだろう。
作業着でニコニコとアーチの基礎部分にコンクリートを詰めていくリディアは嬉しそうだった。
サブローや小松さんとは話しやすいみたいで、アタシはその隙にモーリスたちのタープに向かった。
「モーリス!……モーリス!!!」
「ほっしーちゃん?どした?」
アタシは周りにミシェルさんとエイミーさんがいないことを確かめて、モーリスに話しかける。
「あのさ……エイミーさんとリディア、なにがあったの?」
……手は動かすよ?コンクリートをどんどん作って、アーチをどんどん建てていかなければならないからね。
ザック、ザックと新しいコンクリートを練っていく。
無言でタライに砂利を投入していたモーリスは、ふはっ、と息を噴いた。
「星ケ咲姉弟って人見知らないんだな……」
「えっ!?」
……そうだろうか???シュウジはともかくとして、アタシは人見知りですけど?……まぁ、モーリスはチーム高3の仲間とあって、似た雰囲気は感じているけれども……。
「心配なの?」
ザック、ザック……
「……まァ」
「優しいんだな、星ケ咲家は」
「それって宗ちゃんも入ってる?」
「智恵子さんもね。ファーストの施設、良く行くからさ。水、もうちょっとだね」
ドプドプとタンクから水が注がれて、透明な水泡が跳ねる。
「……アタシは……中2だけどさ。でもなんか、楽しく授業受けたい、じゃない。まァ、アタシに心配されてもって感じかもしれないけどさ……」
「そんなこと言ってないよ。よっと……うん、いい感じじゃない?」
二人でひたすらにタライを混ぜる。感じ始めたモヤモヤをぶつけるみたいに。
コンクリートが出来上がって、モーリスは言った。
「なにかあるって言うより、なにもないって感じなんじゃないかな」




