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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
風……——朱と蒼の協奏
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「みんなー!!!ちゃんと休んでねー!!!」


 ジェシカ先生の爽やかな声が風にのって中庭を流れていく。


「「「はーい」」」


 庭造りは、リディアとアタシだけじゃなく、1組のミシェル・ルーセル、2組のモーリス・シュバリエ、エイミー・ジョンソンと、HyLAスタッフの有志が参加している。


 スタッフの方たちは単位にはならないけど……。建築スキルが上達すれば、メカニックレコードのポイントが上がって、職位が上がったり、やってみたい仕事の幅が増えるらしい。


「ジェシカ先生ー!!もう腕がパンパンでっす!!!」


 ひと一倍大きな声を出しているサブローは、掘削した泥砂利を一生懸命に運搬してくれていたけど、あれは悪ふざけだと思う。


「オーケイ、しっかり休みなさいねー!」


 隣にいる小松こまつさん、そしてサブローはすでにジェシカ先生とは親しい仲らしくて、作業中もチームワーク良く進めていた。

(リエナさんも仲がいいらしくて、すでにメカニックレコードポイントは取得済みらしい)


 ……それに比べてHylub(ハイラボ)チームは——……


「ごめんね、ほっしーちゃん。私、エミリーちゃんと話したことないんだ。同じ年なんだけど」


 ってことは高3か……。


 モーリスは高3チーム(ほら……リディアもだけどそうちゃんとか玲鷗れおんとかさ、リイヤやらさ……と友だちみたいだし、本当なんでか分からないんだけど、シュウジと何故か友だちらしく、アタシたちはなかなか協力して爽やかに作業することが出来たと思う。


「モ、モーリスとは友だちだよね?」


 リディアの言葉に返事を出来ずにいたアタシは、別にかなくてもいいことを言ってしまったと思う。


「シュバリエ君は友だちっていうか、仲間の友だちの人って感じだよ。霧谷きりたに君も、友だちっていうより仲間って感じだしね」


 ライラックに寄りかかったリディアは天使みたいに可愛いし、エイミーさんもミシェルさんも小柄で神秘的で、リディアに雰囲気が似てる気がした。


 ……けど、そこに流れる穏やかではない空気に、アタシの心にざわめきが起こりそうだった。

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