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空は少し黄色を帯びて、青く輝いている。
太陽の光か、宇宙の光なのか……。
予感めいた春が終わって、風と緑の季節が来る。
混乱の翼で覆われた空は綺麗に晴れた。
白い雲の間から光が差してる——
巨大スイカズラの白い蕾が、要塞の綺麗な強さを示す紙灯籠のように、日差しを反射して輝いている。
「桃菜ちゃん、……いける?」
イリディセントレイダーの後ろで発光していたフィンヨンの輝きが凪いだ。
「うん」
代わりに、オーロラみたいな緑の光が、桃菜ちゃんから放たれる——!!!
「春過ぎて……夏来にけらし白灯籠」
桃菜ちゃんの声が……
「まだ来ぬ夏の……」
イリディセントレイダーの水素針が発光する!!!
「道標となりて——」
強く、哀しみに似た……声——
「な……に……これ……——」
「姉?」
——……蛍?
「短い命の輝きたち !!!」
イリディセントレイダーの水素針が、誘蛾灯のように哀し気に輝いている。
アタシも引き寄せられそうだった。……その光りに。
幾粒のホタルが、空間を埋めた。
いつか見たような、命の輝き。
それはゆっくりと、スイカズラに優しく触れるように浮遊する。
哀しげな光の群れとなって……。
「綺麗……」
声に出ていた。
白いスイカズラの蕾は、ゆっくりゆっくりと空気に溶けていく——。
こんな光を、アタシは見たことが在った。




