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「ミカ君、約束をしないか?」
「約束?」
みんなのところに戻ろうとしたアタシに、まだ少し寒そうな、だけどサブローに良く似合ってるアロハシャツを風に揺らして、口笛を吹くみたいに気軽にサブローはそう言った。
ハピたんのゲリラライブが始まって、中庭の広場で歓声が巻き起こっている。
「……ラがさ……」
「何!?」
サブローが言おうとしていることが、大切なことのように思えて、アタシは騒めきの中必死で応えを待った。
「HyLAがさ!……これからどうなるかは分からないんだけど」
甘苦いバラード……——
幸子の声だけが、透明に響いている……。
「HyLAの歴史に後世まで遺ることを、必ずひとつ実現する」
どこからか、誰かが手配したのかわからないけれど、ホログラムスポットライトの灯りがチカチカとビー玉ソーダのガラスに反射していた。
「アタシが……?」
「俺もね」
「……もう十分なんじゃない?」
「なんの、まだまだだよ。心からこれだっていう、未来の自分が誇れる何かってやつをさ」
アタシは桜色のビー玉ソーダを氷水から救い出した。
「ひとりじゃないよって言いたいってこと?」
「もう一本いくとはね」
「夜は長いから」
アタシは、幸子や他のみんなの分のソーダも持てるだけ持った。
心が、早鐘を打っている。
——けど、アタシは踏み出した。
「約束する」




