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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
約束のアトラスフリッカー……——開花する桜
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 夜桜か……


 春休みに入って、久しぶりにエリアの図書館に行った帰り道——……。


 Hylab(ハイラボ)の図書室に行けば、有りと有らゆる世界の書物がなんでも閲覧出来る。……けれど、アタシは通い慣れた小学校からの帰り道にある、エリアの図書館に行きたくなってしまって、オフ一日を充てることにした。


 開館から閉館まで、小さな木の机に座って、ぺらりぺらりと紙のページを気ままにめくる。


 それは、昔々のファンタジーであったり、ふと知りたくなったことであったり、自分の中に新しい色を塗るような素敵な時間がどんどん過ぎていくのだ。


 お昼は、近くの駄菓子屋さんでコッペパンと珈琲牛乳を買って、図書館のテラスのベンチで済ませて、それからまた、図書館にこもる。


 こんな時間はいつぶりだろう。


 アタシの……——アタシだけの時間だ。


 閉館までいると、だいぶ沢山の情報を補充することが出来る。


 借りて帰って読むこともある。


 そうやってアタシという人間が出来てきた……なんて言うと大げさかもしれないけれど、アタシはこんな時間が大好きだったことを思い出す。


 夜、充実した気持ちで岐路きろにつく。


 春の風が髪を揺らして見上げると桜が舞っていた。


 温かい日常の中で、恐れはいつの間にか小さくなるのかもしれない。

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