515
「まー、そこ、凝ったからね」
そう、ハピたんの星の歌は細部に渡って、誰かの心のキラキラした部分に寄り添うような、ぱちぱちとしたいい気分を思い出せるようなしかけで溢れているのです。
「いーよ、じゃあ音源かけるね」
「あ、ありがと」
別に幸子は好きな曲を聴いてもいいのだけど、そゆとこ、幸子は協調性が高い。
滑らかなシンバルの音が響いて、キラキラの……キラキラのウィンドチャイムの音が重なる。
鼓動のような規則的なベースのリズムに、心が穏やかになっていく。
宇宙の海にいるような、そこでキラキラと星が瞬いているような音色たちの小夜曲——。
綺麗な音色に息が楽になってきて、何も考えなくてよくなるのだ。
「あー☆いい曲☆☆☆」
「……自分で言う?w」
「誰にどう言われたって、私は頑張って作ったんだもんさ☆私が好きでいてあげないとねっ☆☆☆」
少し悔しくて、そういう幸子の輝きに、アタシは少しでも近づきたいんだな……と、気づく。
「……ちょっと、眠たくなってきました」
「ちょっ!シュウジ君寝ないでよねっ」
「眠っていいぞ。ほっしーは起きていて欲しい」
ジュンはなんでうちの弟に甘めなんですかね。
でもアタシも今は、優しい気持ちで前を向いていた。




