表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
明鏡止水エアリアル……——白いスイトピー
538/747

510

 ほとんど音もなく、アタシたちは飛び、流氷の上に降り立った。


 シュウジ、ジュンと乗る時の機体の色は白——。


 メカニックの人たちに丁寧ていねいに手入れされた純白の機体は、空中で廻旋かいせんし、しっかりとサブローが指定したキラキラ光る流氷の上に着地した。


 白いスイトピーのつぼみ……


 肉眼では、目視出来ない距離だけれど、その先にそれが存在することを、確かに感じていた。


 なぜかそれは、いつものように禍々(まがまが)しい雰囲気ではなくて、とても神聖な心持ちがした。


 いや、思えばいつもそうだったのかもしれない。自分に関係のない場面シーンであればきっと、ただ美しい、どこか外国の景色のように、そう思ったりすらしたかもしれない。


 きっとそれは恐れであったり、未来がついえてしまう悲しみだったり、そういう思いが、もやもやとした禍々(まがまが)しさを創り出していたのかもしれないとも思う。


 それくらいに、この冷たいあおい海と、白い流氷は、なぜだかアタシに穏やかな気持ちをもたらしていた。


 ——……ザプン……と水飛沫みずしぶきねて、コランダム改が少し離れた流氷に降り立った。空中で仕舞しまわれたフィンは、赤い花火みたいな残像を残して、キラキラと輝いている。


 不安定な足場は、アタシの心のようだった。


 覚束おぼつかなくて、ゆらゆらと揺れる流氷のような頼りない気持ち——。


 流氷の上で、むしろ、アタシの心はいでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ