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はっとするような碧の中……
赤いマーメイドと白いイルカは時折、冷たい水面から跳ね上がり、空を仰ぐ。
「疲れるんだけど……」
言いながらもアタシは、かつてない予感にわくわくしていた。
それは、新しい季節を迎える今だから、というのもあるかもしれない。
これからきっと、少しずつ暖かくなって、少しずついろんなことが良くなっていくのだ……。
だんだんと増えていく、太陽の光を反射する美しい流氷。
水面下の碧の中には、薄明光線のような淡い光が差し込む——……。
イヤリングに反応は無い。
光のレースの合間を自由に泳ぐ幸子は、紛れもなくマーメイドプリンセスのようだった。
そのお付きの白イルカ……か……。
まぁでも、アタシにはアタシにしかできないこともある。
仲間の輝きを見つめながら、少しだけそう思えるのは、重ねた時間と、なによりアタシが仲間を素敵だと思えることが増えたからかもしれない。
この新しい季節の青空のせいかもしれないけれど。
「幸子、そろそろかもよ」
「OK」
アタシたちは少し慎重に、速度を緩めて泳ぐ。
冷たい水の中を。
水面から光が降り注いで、その隙間を縫うように。
「……居る……。見つけた」
イヤリングが揺れる。
モニターが白いスイトピーのエネルギーを感知する。
「あそこだ!!!」




