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コックピットを小さくしたみたいなカプセル状の光る椅子は、とても座り心地が良くて、アタシの体重を心地よく支えていた。
白衣を着た小松さんがこの椅子に座ると、なんだか女神様みたいだし、唯一無二の科学者のようにも見えた。
「なんか、シュウジたちが好きそ……」
「ホバー・コア・ポート。レイダーのコックピットと同様にメディカルチェックと身体のメンテナンスが出来る椅子よ」
どこか嬉しそうな小松さんは、シュウジたちと同類のところがある気がした……。でもどこか、そういう熱さみたいなものが無い限り、続けることはできないのかもしれないとアタシは最近少しそう思っている。
「ちょっと待ってね」
小松さんはホバー・コア・ポートを一気に浮遊させ……って見えちゃ——わない、良かった……小松さんは紺のプリーツスカートの下に、黒いレギンスをしっかり履いているようだ。
「ミカ……。私あぁいう完璧な人、どう喋っていいか分かんないんだよね……」
幸子が頬を染めて俯いている。
「完璧?」
なんか、いつものアタシみたいじゃない?
確かに、幸子の周りにはいないタイプかもしれないけど……幸子も緊張とかするんだ。
そうこうしてる間に、小松さんはスッと降りて来てデスクに一冊の本を置いた。




