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「ねぇ!ミカ。……SLTってなんぞ???」
「ん!?」
疲れた幸子のために、小さいけれどモノトーンでお洒落なキッチンで(本当にウチと同じアパートなのか……!?)ココアを作るためのホットミルクを温めていたアタシに、四畳半のベッドから声がかかる。
「ち、ちょっと待ってよ」
ミルクは沸騰し過ぎたらだめだ。
ショーコや、幸子、雪子さんとの出会いを経て、アタシはホットミルクをとても美味しく淹れられるようになっていた。
(母や由子さんは意外にもホットミルクを淹れるのが苦手らしい。由子さんは得意そうなのに、意外ですと言ってみたら、雪子さんがお茶を淹れるのが上手くて、あんまり淹れる機会がなかったんだそう。そういやウチも、シュウジがお茶を淹れるのが上手いし、担当みたいなものがあるのかもしれない)
今日はこれを、ホットココアにする。
ココアは、少しのミルクで丁寧に練った分だけおいしさが生まれる。
幸子は、ココアにほとんど甘みを足さないけれど、アタシのココアにはハチミツを入れてくれて、それがなぜか、その日のアタシが必要としている甘さだったりする。
今日の幸子にはハチミツ2匙。アタシだって分かるのだ。
「ん」
「ありがと。……おいし」
ほらね!
アタシはスプーン1匙にした。




