50
「雪子ちゃん、由子ちゃん、幸子ちゃん、実華ちゃん、宗二!シュウジ!行くぜ!!!」
燦々とした明るい太陽の下で、瑞々しい草原色のナノゲイルレイダーを駆り、玲鷗が叫ぶ。
「喰らいやがれぇ!ナノゲイルドロップ!!!!!!」
「ヘブンズメイクエモーション☆♡♤!!!!!!!」
「スカーレットブレイズ!!」
切り裂く烈風、幻想のようなプリズム!
強く烈しい、緋色の炎。
エリアカリフォルニア、LAの海岸に激しい戦禍が巻き起こっていた。
陽を浴びた浜辺に似つかわしくない、猪の群れが、次々に消えていく。
住人の避難は完了してる。
奴らの鋭い牙になぎ倒された街も、後で再生する。
敵はあと、一体。
レイダー越しとはいえ、アタシの手のひらを貫いた巨大猪がまたそこに在る。
同じ個体ではないかもしれない。
けど、アタシは手の震えを抑えるのに精一杯だった。
「ねー玲鷗!私、さっちゃん嫌だぁ!☆幸子ちゃんって呼んでほしい!」
……何?
コックピット内に、幸子の声が響いた。
「玲鷗君!姉も、ほっしぃって呼ばれるのが落ちつくみたいだよ」
……えっ?いやちょっと今戦闘中!
「オーケー、幸子ちゃんとほっしぃな!ほっしぃラストいけるか?」
「あ、当たり前!!シュウジ!」
「OK!」
アタシは水素針を握りしめた!
「「薄明の光が白炎となる」」
「俺の」
「私の」
「「力を光に変えて」」
「「降り注げ!」」
「「ディストレス!!」」
「「バーキング!!!!」」
「「アローー------!!!!!!!」」
輝く海岸に似つかわしくない巨大猪は、薄明光線に溶けていった。




