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「サブローさん、この空飛ぶスニーカー、いいですね」
——アタシはそれどころじゃない。
赤い瞳から目が離せなかった。
「……そうだろう、シュウジ君。けど君の体幹の為せる技だ」
「ありがとうございます」
シュウジはやけに落ち着いているような気がした。
アタシはアクアフルールとシュウジのライズブレスに必死で意識を集中させる。
マックスは怯えているようにも、何も考えていないようにも、……悲しんでいるようにも……イヤリングが震える。
シュウ……シュウ——……と、弟のスニーカーからエネルギーが噴き出す音が聴こえている。
あの仕掛けを、弟は自慢げに話してきたけど、実装されているのは知らなかった。
「姉、あのこ、可愛いよね」
可愛い!?……可愛いってどういうことか知ってんのか弟よ!
弟は手を伸ばし、じりじりとマックスの瞳に近づいていく。
——真っ赤な姿……。アタシなら選ばない色。けど不思議と、恐怖はなくなっていた。
「薄明の光が、白炎となる」
——!?
「僕たちの力を、光に変えて」
弟の青い水素針が光る……いつの間に!!
「降り注げ……」
わからない……けど!
「「マックス」」
アタシは警戒を解いた。
「「バーキング」」
この力は……
「「アロー!!」」
壊すだけじゃ——無い。




