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「マックス君っ……チョッチョッチョッチョ……」
「ぎょ!シュウジそれ猫呼ぶ時のカンジじゃん!!!」
それでも、コランダムの姿をしたマックス(仮)は、こちらに振り向いた。
——死ぬ。……怖い。
血を零したみたいな真っ赤な瞳がアタシたちを見下ろしてる。
「ま……マックスくん……?……いいこ?いいこだよねぇ???」
震える声でアタシもそう言うしかない。
……ゴゴゴ——……という怒りの効果音が後ろに見える……気がする。大丈夫……?ねぇ、怒ってない?彼!
「大丈夫だよ、安心だよ」
シュウジがへら、っと微笑んで、マックス(仮)の動きが停止した。
震える手をごまかすように、アタシはシュウジの腕を強く掴む。
「マックス君……帰ろう?」
不思議と、アタシはシュウジの声が、彼に伝わっている気がした。
マックスは……探しているのだ。帰る場所を。
「待ってるよ、幸子さん」
それは分からないとも思う。
幸子自身、傷ついている。
シュウジの言葉はまやかしかもしれない。
「僕がさ、一緒についていくからさ」
それでも、その力強さに、アタシは……たぶん皆は何度も流された、というと人聞きが悪いかもしれないけれど。
「帰ろう?」
それでも、繰り返される光に、そういう気持ちになって来るのだ。




