表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
イルミナルブラッド……——赤目のフェイクファー
512/749

486

あね、生命維持バリアの上に、アクアフルールも展開してください」


「わかった」


 アタシは傘みたいに、アクアフルールを頭上に展開した。


「僕を守ってね」


「ま、まぁあねだしね」


「じゃ、行こう」


 ゆっくりと歩き出した弟の付き人みたいに、アタシは早足で歩く。


「たぶん大丈夫だよ」


「たぶん、ね……」


 でも、アタシもそんな気がしていた。


「なんか、歩いて行ったら結構遠くない?」


「……怖いよね」


 弟は歩みを止めない。


 荒野の乾いた土が、アタシのチェルシーブーツをさくさくと受け止めた。


「……ねぇ、なんでアタシなの?」


 会場にはそうちゃんもジュンも居た。弟が手を取る相手は、もうアタシじゃないと分かってる。


「怖かったから」


「……え?」


「母がいたら、母だったかもしれないけど。やっぱ家族だし」


 アタシはそれ以上聞かなかった。


「だいじょぶだって!」


 そんなのわかんない。けどアタシが弟に言ってやれる言葉はそれだった。


「うん。大丈夫大丈夫。それは分かってんだけどね。ひとりじゃ怖いじゃない」


「アンタもそう思うんだ」


「子どもですもの」


「っそ」


 弟は一人でも大丈夫だと思う。アタシなんかよりよっぽど。


 それでも、アタシたちがやろうとしていることは、……アタシたちの正義だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ