484
——人が集まって来る足音がする!!!
「姉!!!急いで!!!」
まだ青い空の下に、シュウジは駆け出した!!!
「ちょ!」
「速く!!!幸子さんのライブ会場ハイテクだから、すぐ再生しちゃうよ!!!」
壁がみるみる再生していく!!!
アタシは不思議と、もう迷ってはいなかった。
シュウジの、根拠のない笑顔と……HyLAの白ジャケット。
アクアフルールより強力なバリアが、アタシを守っている。
ギリギリで壁の切れ目に飛び込んで、アタシは土の上に転がった。
「姉、立って」
「わかった」
シュウジの手を掴み、起き上がる。
ブルーグレーの空の下に、どこまでも続く赤茶けた荒野……——。
観覧車が存在していた場所に、コランダムが無造作に存在していた。
「なに……してるんだろう……」
そんな場合じゃない。
……そんな場合じゃないけど、アタシは風に吹かれる髪を押さえながら、コランダムの挙動を見守った。
「探してるんだ」
「え?」
妙に確信に満ちた弟の声に、アタシは納得しかけてしまう。
「あれは、マックス君だと思う」
「……——え?」
……え?——どゆこと???
思ってもみない仮説に、アタシは今までの緊張がどこかにいってしまった。
「幸子さんのうさぎのね」
……うさぎ??????




