482
体が、いやに寒くなってくる——……。
緊急警報が鳴り響いている筈なのに、どこか遠い世界の幻影のようだ。
躓きそうな足の痛みと、弟の温かい手……自分の不規則な呼吸の音が、いやに現実的だ……。
「どこに行くんですか!!!」
happilarmcessのライブスタッフの人に呼び止められて、アタシの顎がシュウジの後頭部にぶつかった。
「痛った……!」
「ごめん!」
「逃げてください!ワープポイントに急いで!」
「わかりました!」
シュウジが踵を返す。
「ちょ!」
迷路みたいな通路の曲がり角を曲がり、シュウジは壁に隠れて向こう側を伺った。
「……ッ!ハァ……ハァ……何!?どうしたの!?」
アタシは壁に凭れて何とか息をした。
「逃げないと……死ぬんじゃない?」
今度こそ……。若い弟に警鐘を鳴らすように、アタシは静かに言った。
「……死なないよ。でも、装備しよう。ちゃんと。姉、こっち」
ライブの舞台装置が放置された倉庫に、アタシたちは隠れるみたいに潜り込んだ。
「姉、HyLAのジャケット着て。搭乗外モードで」
シュウジの体がヒーローものの変身バンクみたいに青く光る。
両腕にはレイダーとお揃いのガントレット。右手が輝いて水素針が射出される。
「実華も、早く!!!」




