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なんかあんまりおいしくないね、と言い合いながら、幸子とアタシはカフェラテを淹れ合った。
シュウジは朝練で居なくて、静かな時間が流れる。
楓は変わらず元気で、幸子とアタシの間を交互に行き来して額を押し付けて来る。
なんだか心底安心して、アタシは大きくため息をついた。
「ミカ、Hylabいけば?」
搭乗は単位になる。
アタシは振替で休んでいた。通信で、課題はやっていたけれど。
「……幸子は?」
アタシは幸子を見ないようにして訊いた。
幸子がカフェラテを飲んでいる気配がした。
こういう時に、シュウジが居ればいいのに……アタシはうまく出来ない。
「いくよ。ライブに」
一人でも?……それでも幸子は行くというのだろうか。
「……見に来てくれない?シュウジ君と、んーと、ゴーグルおじさんとかとさ……今回だけはさ」
happilarmcessのチケットなんて取れない。
アタシはずるい気がして、ハピたんのスタッフさんからの席の確保をいつも断っていた。
「てゆか、誘いたい人誘っていいし。……お願い」
「いくよ」
そう言ってあげたかった。
見届けたい気がした。
「あー……のさ、リディアとロボ菜ちゃんは当たったって言ってたよ、チケット」
「そっか☆んじゃ、精一杯演るね!」




