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黒い機体が荒野に廻る観覧車を追いかける。
コランダムが縺れながらそれに続く——。
「マックス!!!」
バチッ、と通信機から破裂音が、鼓膜を震わせる。
「……!?幸子!!!!」
基礎から離脱した観覧車のホイールは、多くのエネルギーを受けて荒野を廻っていく。
「マックス君!!!」
シュウジの声が届かないなんて——アタシはどうすればいいのか分からない!!!
一瞬で彼方に駆ける黒と赤のレイダー。
「幸子!!!」
ヘブンズレイダーが音速で追う!!!!!!
「姉!!!走るよ!!!!」
……震えているのが分かった。
コランダムにも、マックスにも……二度と会える気がしなかった。
「ほっしー!」
「ごめん!」
脹脛に力を込める!!!
「——!!!」
爆風!!!!!!!
違う——
超新星爆発を起こすみたいに黒い悪意が圧となる!!!
そこに立っているだけで精一杯のアタシは、超速のロケット花火みたいな二つの光を見た——。
「マックス!!!!!!!!!!!」
幸子の痛烈な悲鳴が響いて泣きそうになる……
——静寂……
——何が起こったのかわからなかった。
灰色の空にホバリングするヘブンズレイダー……
遠くに転がる朽ちた、観覧車。
——蝶々雲の向こうに消えた仲間……
ただ立ち尽くすしか……無かった。




