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「そうだけどさ-3」
アタシはノートに元素記号を走らせながら、シュウジが淹れてくれたほうじ茶を飲んだ。
そういう宗ちゃんはもちろん居ない。バタバタと動き回っていた。
シュウジはエグゼクティブチェアのキャスターを転がして、ジュンのノートを覗き込んだ。
「何やってるの?ジュン君」
「先端機械工学だ」
「えっ」
ジュンは科学系の授業は取ってなかった筈……
「やることにしたんだ?」
シュウジはどこからかまたお茶を差し出した。
「そうだ」
ジュンは短くそう言っただけで、ノートから目を離さない。
「あー……」
無理だ。やっぱりアタシも休もう。
焦る……周りが進んでいるのを見るのは……。
そんなこと気にしないで自分の勉強をすればいいのに、何がアタシに必要なことか分かってないアタシは手が止まってしまう。
「止まって進んで。……u-coはそう言っている」
「え、由姉そんなこと言うんだ……」
幸子が口を開いた。
由子さんは、アタシにもそう言ってくれたことがあった。
忙しくて、あんまり会えないけど。
みんなHyLAに貢献しているのに、アタシは何か出来ているのだろうか……。
「お茶がおいし」
そんな時でも、シュウジが淹れてくれたお茶はいつだっておいしいのだ。
みんなそう、わかってる。




