468.5 手記18
「三島!!!」
軽やかに蒼空に飛び出した俺は、着地点を見失った。
手足の感覚が繋がらない……——。
もがくように足掻いて、天地が流転する。
碧いコックピットの中が、モノトーンに点滅する。
手を伸ばしても、届きはしないのに……。
「三島!!!」
拓海の絶叫のあと——何かが折れる音がした。
——全身の感覚が……無い。
鮮やかだった新しい視界が、今はモノクロームシネマのように、近くて遠い世界だ——。
「三島!三島!!!」
拓海の声が遠くなっていく……。
――うまくいかなかったのか……?
俺に出来るわけがなかったんだ……。
心のどこかで分かっていたことが、さざ波のように押し寄せる。
——操縦管を、未だ握っていることに今更気づく。
「仁……花…………」
痛みを通り越している……どこかでそれが分かっていた。
——死ぬのか?初動試験に失敗して。
それもいいと思った。
そうやって、俺たちは学んでいく。
「た……くみ…………」
「お前まで居なくなるのか!!!」
——いなくならないよ。……俺は。
手が動かない……けど、俺は強制射出ボタンを探った。
——息が……うまく出来ない。
ボタンはすぐそこだ。
「強制射出出来ない!!!お前が、お前が戻って来い!!!」
俺なんかに出来るのか?仁花……




