薄明のハイドロレイダー

緑の瞳……——コランダムの葉脈

465

　……——こんな時なのに、記憶がフラッシュバックしてごちゃ混ぜになる。

「幸子《さちこ》！っ幸子《さちこ》！！！」

　ミカの声に何度も引き戻される。

　バチバチッ

　と、コックピット内に閃光が走り、体に力が入らなかった。

「きゃっ！」

「ミカ！！！」

　ハイドロレイダーがコランダムに薙《な》ぎ倒された。

　……——嘘……

「やめて……」

　私は何も出来ない。

「ミカちゃん！！！シュウジ君！！！」

「純之助《じゅんのすけ》君！！！」

　お姉《ねえ》たちのエネルギーが空回るのがわかる。

「……闇はどこまでも続く」

　そうかもしれない。

「俺の強さが敵を討つ」

　私も……同じだから。

「鳴り響け！」

　通信機が騒めく……

「ハイドロレイダー……」

「マックス！！！」

「ファーレン！！！」

「あなたなの！？」

「レーゲンシュテルン！！！！！！！！」

　闇の中に、一筋の光……

　宝石みたいな、緑の流星。

　……雨。

　全てを撃ち抜く、幾億の輝き。

　輝きは、いつか飲まれてしまうかもしれない。

　飛びたてないヘブンズレイダーは、仲間を見上げるしか出来ない。

　輝きは、いつか飲まれてしまうかもしれない……

　在《あ》る日と同じように……

　……輝きは、いつか飲まれてしまうかもしれない。

　……——それは、今なのかもしれない。

「マックス君！あのさァ！何やってんの！！！」

　ハイドロレイダーの水素針《すいそしん》の碧《あお》い光が——爆発した……！！！