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瞬きした瞬間に、世界がぐるんっ!と回転した。
「っ幸子!!!」
空回りするように、ヘブンズレイダーの行き場のないエネルギーが装甲の外にぶわっ――と漏れ出していく……
何が起こったのか分からない……。
「マックス君……なんで……?」
シュウジ君のピュアな疑問が……今はやけにイミを持った声に聴こえる。
引力に引っ張られて——墜落する!!!
「っっ……——!!!」
「幸子!!!」
強化シリコンは、落下の衝撃に耐えきった!
だけど、目の前がくらくらする——
「幸子!由子!!!」
「大丈夫……」
……じゃない。
暗い予感が、じわじわと背中から広がっていく。
チカチカ、……——と、コックピット内のライトが消える。
非常ライト……——
研修で教わったシステムを、使うことになるなんて……。
非常モニターが展開する。
ハイドロレイダーが、コランダムと組み合っていた。
その向こうに……
嫌な既視感に、涙が溢れそうになる。
——フラッシュバック。
「ど……して……」
あの日見上げた恐怖……。
ベルベットみたいな、黒い機体——。
その水素針も、黒く輝いている……。
いなくなった私の、可愛い子。
そんなこと在る筈ない……。
ヴェルベティンレイダーから、地鳴りのようなドラムが鳴り響いた——




