456.5 手記17
——やけに静かだ。
碧いカプセルの中は、思いの外居心地が良かった。
ヴンッ……——と景色が変わる。
居心地の良い小さな碧い空間の中に、モニターが現れる。
蒼い、エリアBの亜空間倉庫が、どこまでも続いているのが見える。
「三島」
通信機に、拓海の声。
「レイダーの、中はどうだ?」
「快適だよ、すごくね」
操縦管を握る。
手の中からぽかぽかとあったかくなり、いい気分だ。
「動けるか?」
両手を動かすイメージをすると、ゆっくりとモニターにレイダーの手が現れる。
「灰色だ……」
赤い、ブレイズレイダーは、俺が乗ったら灰色に……月の影みたいな濃灰色に変わっていた。
「全身、変わってる」
遠隔操作で、拓海がコックピット内のモニターに、ブレイズレイダーの姿を映す。
手を振ってみると、モニターの中の俺も手を振った。
歩くことも出来た。
初めの一歩が踏み出しにくかったけど、一度踏み出してしまえばどこまでも歩けそうだ。
思い切って跳躍すると、思った以上の高さに飛ぶことが出来た。
「拓海、基本動作は問題ないみたいだ」
「上々だな」
珍しく褒めてくれたのは、安堵の意味も込めているのだろうか。
俺は全力で走ってみた。
痛覚連動システムのせいだろうか……全身に痛いくらいの風を感じた。




