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薄明のハイドロレイダー  作者: 小木原 見縷菊
ブルーグレイの風……——冬の胡桃
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「友だちってなんだろ……」


 父と、母は優しい。忙しくてIOPに行ったきり帰ってこないけど。


 雪姉せつねえも、演じる仕事を始めたとかで忙しいし、いつも怒ってくる。でも、銀幕の向こうで涙する雪子せつねえは美しくて、私もこっそり泣いてしまったりした。


 由姉ゆうねえも自分で作った銀細工が注目を浴びて、今度雑誌に出るそうだ。


 いつも私にため息ばかりだけど、モノを見つめる由姉ゆうねえの瞳は美しかった。黒い瞳の父と、飴色の瞳の母——。誰に似たのか、由姉ゆうねえの瞳は灰色で、紫がかっていた。


 今日もひとり。


 私は狭い自分の部屋の窓から空を見上げる。


 ……マックスが、私のすねを鼻でつついた。


「おいで」


 ブリーダーショップでなぜか大きくならなかったマックスは少しだけ大きくなって、短かった黒い毛はベルベットみたいなふさふさの巻き毛になって、エメラルドみたいな瞳が宝石みたいに輝いている。


「ごめん、キミがいたね」


 私はマックスを抱きしめた。


 このこを守ってみると決めた日と同じように、マックスは私の脇腹と腕の間に顔をうずめる。


 マックスは、私にだけこんなふうに懐いた。


 あねたちも可愛がっているけれど。


「キミが友だちってやつなのかもね」


 マックスが来て、私は一人になることがなくなったのだから……。




◯◯◯

「シュウジ!ちゃんとマフラー巻きなよ」


「大丈夫だよ、元気だし」


 そう言って、弟は結構思わぬ日に風邪をひいたりする。


 しぶしぶ、青いマフラーを巻いてやると、なんだかんだあったかそうにしている。


あねもさ、風邪ひかないようにしてよね」


 分かってるって。なんか今、古代の風邪がまた流行ってるみたいだ。


 お正月があっという間に過ぎ、まだ寒くて、風邪には気をつけないと。


 シュウジは学校に、アタシは月基地に。たまにクラスにもいく。


 心配かけないようにしよっと。

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